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だいじょうぶレポート

【解説】「取り出し指導」と「入り込み指導」

2010.11.25

 「取り出し指導」も「入り込み指導」も児童生徒一人一人に対応した指導であることに違いありませんが、それぞれがどのような場面で必要かつ有効であるかを検証してみる必要があります。

「取り出し指導」のメリット・・・「取り出し指導」は在籍学級を離れ別室で個別に指導するので、在籍学級での学習内容から離れ児童生徒一人一人の日本語能力に合わせて学習を進めるのに効果的です。また、周囲を気にすることなくのびのびと学習に取り組めるのも特徴です。

「入り込み指導」のメリット・・・「入り込み指導」は在籍学級における一斉指導のなかで、日本語担当者あるいは母語支援者が児童生徒のそばに付き添い学習を支援する方法で、具体的な場面での指導に効果的と考えられます。本人も他の児童生徒と同じタイミングで理解できるので学習参加意欲が高まり、自信にもつながります。

「取り出し指導」は、通級する児童生徒の日本語能力や学校生活適応状況を踏まえ、通級時間割の中に計画的に組み込まれるものであるのに対し、「入り込み指導」は児童生徒の学習状況により必要に応じて暫定的に組み込まれるものと考えるべきでしょう。この場合、日本語教室の通級対象である児童生徒だけでなく、普段は通級していない児童生徒も入り込み指導の対象に含めます。いずれも学級担任と十分な共通理解を図った上で実践しましょう。

 「入り込み指導」が効果的な場面の例を紹介しましょう。

 新年度、小学校に入学したばかりの児童は、日本人の子も外国人の子も先ずは学校生活に慣れることからスタートします。登校してから下校するまで、日課にしたがって生活を送る場所であることを教えます。授業を受ける際の学用品の準備の仕方、体育時の衣服の脱ぎ着、給食時の配膳と後片付け、校内施設の使い方、校庭の遊具の使いかたなど、実際の場面で指導・助言することの多い大変重要な時期と言えるでしょう。外国人児童のなかには、小学校に入学するまでの間、幼稚園や保育園に就園せずに家庭内のみで過ごした子どももいますので、集団生活に慣れることはその後の生活全般において重要です。

 特に入学式後2週間ほどは、実質的な授業はほとんど無くこの生活指導に充てるので、日本語指導の「取り出し指導」はせず、「入り込み指導」のみで対応するといいでしょう。児童の様子を注意深く観察することによって今後の通級指導のあり方を判断する手掛かりをつかむこともできます。年度の途中で編入してくる外国人児童の場合も、最初の1~2週間は取り出し指導と並行して一斉指導のなかで付き添って指導したほうが効果的な場面においては、可能な限り「入り込み指導」を行いましょう。その場合、対象児童の学齢や日本語理解能力を考慮に入れた上で入り込み指導をする期間を決めます。

 また、母語による支援のようすを周囲の日本人児童が目の当たりにすることで、対象外国人児童に配慮する空気が自然に生まれるようになるとさらにいい効果が期待できるでしょう。

 入学・編入学後の普段の授業で「入り込み指導」が効果的とされるのは、算数・理科・社会などの教科学習で新しい単元に入るときや総合的な学習の時間の計画の段階などです。一斉指導のなかでの参加の様子を観察して、学習内容の理解の程度を把握しましょう。児童生徒が教師の発問や指示が分からない時は母語を交えて説明したり、難解な学習用語を分かりやすい言葉に言い換えて説明したりします。グループ学習の場合は、何の目的でどのような学習をすすめるのかを、最初の段階で入り込んで指導しておくと、その後の学習参加がスムーズになります。

【解説】特別支援学級での日本語指導

2010.11.20

 平成2年に入管法が改正され外国人児童生徒が増加する一方の数年間、学校現場はその対応に大変な苦労をしていました。日本語が全く分からない子どもたちを前に授業することになった教員は、授業の進度も考えて日本語指導を別室で能率的に行おうと考えたのも自然です。これが日本語教室の起源です。

 この時に、新規に別室を用意して教員が指導に当たった学校もありましたが、既存の「別室」と言えば特別支援学級であるケースがほとんどでした。そこには常に教員もいますので、ここで通常の特別支援学級授業の傍ら日本語個別指導を行う光景がたくさん見られました。

 また、外国人児童生徒が実際に日本語を習得するスピードは個人差が大きく、時には何か障害があるのではないかと思ってしまうことあります。特別支援学級での日本語個別指導のしやすさに加えて能力や学力の遅れを考えると、常に特別支援学級で過ごすまたは正式に就学指導委員会を経て入級となる外国人児童生徒が出てきました。

 しかしこの考えは根本的に正しくありません。先に書いたように彼らが日本語を覚える速度は個人差が大きく、そこには学校での指導や本人の能力だけでなく、家庭環境や文化面の不適応問題も影響しています。裏返せば、本来の必要性で特別支援学級に入級が必要な児童生徒の割合は、他の児童生徒に占める割合と同じ程度しかないと言えるのです。

 小学校で特別支援学級に入級しそのまま中学校に進学すると、学校生活の実態と本人の成長(学力を含め)の間に大きな隔たりが生じます。また、成長と共に周囲と築くべき社会性についてもその可能性を奪ってしまうことになります。卒業時の進路選択においてはその影響が顕著に表れます。

 学校現場の実情は本当に大変です。学校によっては日本語を個別指導する場合に特別支援学級を選択するしかない状況もあるかもしれません。その場合は正式には入級させないことと、ある程度の日本語を身につけたら目的達成と判断し出来る限り早い機会に在籍学級の生活に戻すこと、もしくはほかの個別指導を設定することが大切です。


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